「桜切る馬鹿」と言われますが、盆栽の桜は剪定が必要です。しかし適当に切ると枯れます。この記事では、桜を枯らさずに剪定する正しい時期(花後すぐ)と、絶対に欠かせない「消毒」と「癒合剤」の使い方を初心者向けに解説します。
はじめに:「桜切る馬鹿」の本当の意味
「桜切る馬鹿、梅切らぬ馬鹿」 この有名なことわざを聞いたことがありますか?
- 梅: どんどん切らないと、枝が混み合って花が咲かなくなる(切らないほうが馬鹿)。
- 桜: 枝を切ると、切り口から腐朽菌(ふきゅうきん)が入り、木全体が腐りやすい(切るほうが馬鹿)。
という意味です。 街路樹の桜も、太い枝をバッサリ切ることはあまりありませんよね。 しかし、限られた鉢で育てる盆栽の場合、切らずに放置すると枝が伸び放題になり、樹形が崩れるだけでなく、風通しが悪くなって病気になります。
つまり、盆栽の桜は「切る必要があるけれど、外科手術のように慎重にやらなければならない」のです。

失敗しない剪定の「時期」は年1回
桜の剪定で最も重要なのはタイミングです。 間違った時期(特に夏や秋)に切ると、来年の花芽を落としてしまい、翌春に「葉っぱしか出ない!」ということになります。
ベストタイミング:花が終わった直後(4月〜5月)
「花が散り始めたらすぐ」が最高のタイミングです。 この時期なら、木に体力があり、傷口も塞がりやすいです。 また、桜は夏(7月〜8月頃)に来年の花芽を作ります。その前に剪定を終わらせておく必要があります。
冬の剪定(1月〜2月):太い枝のみ
落葉している冬の間は、全体のバランスを見て「不要な太い枝」を整理するのに向いています。ただし、この時期に細かい枝を切ると、せっかくついている花芽を落としてしまうので注意しましょう。
準備するもの(これがないと枯れます)
桜の剪定には、ハサミ以外に絶対に用意しなければならないものがあります。
- よく切れる剪定バサミ
- 切れ味が悪いと断面が潰れ、そこから腐ります。
- 消毒用アルコール(またはライター)
- 最重要です。 桜はウイルスに弱いです。使う前にハサミの刃を消毒液で拭くか、ライターの火で炙って殺菌してください。
- 癒合剤(ゆごうざい)
- 商品名「トップジンMペースト」や「カットパスター」など。
- 切り口に塗る「お薬(絆創膏)」です。桜の剪定では必須アイテムです。これがないなら切ってはいけません。
実践!花後の剪定ステップ
花が散り終わった4月後半〜5月に行う作業です。 特に人気の「旭山桜(あさひやまさくら)」などもこの方法で行います。
手順①:花がら摘み(はながらつみ)
花が咲き終わったら、自然に落ちるのを待たず、花の根元(緑色の軸の部分)から摘み取ります。 放置すると「種(さくらんぼ)」を作るためにエネルギーを使ってしまい、木の体力が奪われます。
手順②:枝を切り詰める
今年伸びた新しい枝を、根元から数えて「葉っぱが2〜3枚残る位置」で切ります。 「えっ、そんなに短くしていいの?」と思うかもしれませんが、大丈夫です。そこから新しい枝が伸びて、来年の花芽がつきます。
手順③:枯れ枝・不要な枝を切る
完全に枯れている枝や、内側に向かって伸びている邪魔な枝を根元から切ります。
手順④:【超重要】癒合剤を塗る
切ったら「30秒以内」に、切り口に癒合剤を塗ってください。 空気に触れさせないことで、雑菌の侵入と水分の蒸発を防ぎます。これが「桜切る馬鹿」にならないための最大の防御策です。
夏以降は「切らない」が正解
梅雨が明けて夏になると、桜の木は葉の付け根に「来年の花芽」を作り始めます。 この時期(7月以降)に「枝が伸びてきたから邪魔だな」と思って切ってしまうと、せっかく作られた花芽ごと切り落とすことになります。
夏以降に伸びすぎた枝があっても、グッと我慢。 どうしても気になる場合は、冬に葉が落ちてから整理しましょう。
まとめ:消毒と薬さえあれば怖くない

- 時期: 花が散ったらすぐやる(4月〜5月)。
- 消毒: ハサミは必ず消毒する。
- 保護: 切ったら絶対に「癒合剤」を塗る。
この3つさえ守れば、桜は盆栽でも元気に育ってくれます。 桜はデリケートなお姫様のような木です。 「汚れたハサミは嫌!」「傷口はすぐ塞いで!」というワガママ(性質)を理解して、丁寧にエスコートしてあげましょう。 そうすれば来年の春、また満開の笑顔を見せてくれるはずです。



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