暦の上では立春を迎える2月。まだまだ空気は冷たいですが、盆栽たちの枝先では小さな芽が膨らみ、春の準備が着々と進んでいます。
2月は、盆栽愛好家にとって「植え替え」という一大イベントが始まる重要な月です。「三寒四温(さんかんしおん)」と呼ばれる、寒い日と暖かい日が交互に来る気候を読みながら、愛樹の活動開始をサポートしてあげましょう。
1. 見頃の盆栽
2月は、厳しい寒さの中で咲く花たちが、春の訪れをいち早く告げてくれます。
- 梅(ウメ):盆栽界の2月の主役。紅白の花と香りが楽しめます。
- 長寿梅(チョウジュバイ):名前に「梅」とつきますがボケの仲間。小ぶりな赤い花が可憐です。
- 蝋梅(ロウバイ):透き通る
- ような黄色い花と、甘い香りが特徴です。

2. 置き場所:寒暖差(三寒四温)への対策
2月は「暖かい日」と「極寒の日」が繰り返されます。この寒暖差が盆栽にはストレスになるため、人間が調整してあげる必要があります。
屋外管理(基本)
基本的には屋外の日当たりが良い場所で管理し、寒さに慣れさせます。
- 注意点: 昼間が暖かくても、夜間に氷点下になる日は要注意です。水分を含んだ鉢土が凍ると、膨らみ始めた根や芽が傷んでしまいます。冷え込みが厳しい夜だけは、玄関内や軒下の風が当たらない場所へ避難させましょう。
室内管理(花ものなど)
梅などの花が咲いている樹は、玄関やリビングで鑑賞を楽しめます。
- 注意点: 暖房の風が直接当たる場所はNGです。また、長期間(1週間以上)室内に入れっぱなしにすると、日照不足や乾燥で樹が弱ります。「3日飾ったら3日外に出す」など、ローテーションで休ませてあげてください。

3. 水やり:活動開始に合わせて回数を増やす
樹が少しずつ水を吸い上げ始めます。1月よりも乾くスピードが早くなるため、観察が必要です。
- 頻度(屋外): 2〜3日に1回が目安。風が強い日は乾きやすいので注意。
- 頻度(室内): 暖房の影響で非常に乾きやすいため、毎日土の状態をチェックしてください。
- 鉄則: まだ夜間は凍結の恐れがあるため、必ず「午前中」に済ませます。夕方の水やりは鉢土を凍らせる原因になります。

4. 肥料
基本的にはまだ不要です。 活動を始めていない樹に肥料を与えても、消化不良を起こすだけです。春になり、葉が展開してから与え始めても遅くありません。 ※梅などは、花が終わった後に「お礼肥(おれいごえ)」を与えますが、基本は3月以降で大丈夫です。
5. 消毒:石灰硫黄合剤のラストチャンス
冬の風物詩とも言える、幹が白くなっている盆栽を見たことはありませんか?あれは「石灰硫黄合剤(せっかい・いおう・ごうざい)」という薬剤で消毒した姿です。
- 効果: 幹の隙間で冬越ししている害虫や病原菌を根こそぎ退治します。
- 時期: 新芽が出る前の2月までが限界です。新芽が出てから強い薬を使うと、芽が焼けて枯れてしまいます。
- 代替案: 臭いが強烈で入手しにくい場合は、ホームセンターで買える「サンヨール」や「ベニカX」などのスプレー剤でも代用可能です。
6. 樹種別の作業:植え替え(雑木類)
いよいよ「植え替え」のシーズン到来です。 もみじ、楓、ケヤキなどの落葉樹(雑木)は、新芽が膨らみ始めた2月下旬頃が植え替えのベストタイミングです。

- なぜ今なのか?:芽が出る直前は、樹のエネルギーが根に集中しており、根を切っても回復が早いためです。
- 頻度:若い木や小さい鉢は1〜2年に1回。古い木は3〜4年に1回が目安。
- サイン:水をやった時に水がなかなか染み込んでいかない場合は、根詰まりのサインです。必ず植え替えましょう。
7. 2月のよくある質問 (FAQ)
Q. 植え替えをした後の管理方法は?
A. 植え替え直後の樹は、人間で言えば手術後のような状態です。根が安定するまでの2週間ほどは、強い風が当たらない場所で静養させ、絶対に土を乾かさないようにしてください。肥料は厳禁です。
Q. 鉢にヒビが入ってしまいました。
A. 冬の間に鉢土に含まれる水分が凍って膨張し、内側から鉢を割ってしまうことがあります(凍て割れ)。割れた鉢は根を乾燥させてしまうため、春の植え替え時期に新しい鉢へ交換してあげてください。



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