1月は一年で最も寒さが厳しい季節です。盆栽たちは休眠期に入り、葉を落とした「寒樹(かんじゅ)」の美しいシルエットを楽しめる時期でもあります。
派手な作業は少ないですが、この時期の「保護」と「管理」が、春の芽吹きや花付きを左右します。寒さと上手に向き合いながら、愛樹を守るポイントを解説します。
見頃の盆栽
冬の寂しい景色の中で、彩りを与えてくれる樹種たちが主役です。
- 梅(ウメ):蕾が少しずつ膨らむ姿に春の予感を感じます。
- 椿(ツバキ):雪景色に映える鮮やかな花が魅力。
- 藪柑子(ヤブコウジ):赤い実が正月の縁起物として愛されます。
置き場所:樹種による「寒さ」の使い分け
1月の管理で最も大切なのは、樹種ごとの「寒さへの当て方」です。過保護にしすぎると失敗することもあるため注意が必要です。
松柏・雑木類(基本は屋外)

基本的には屋外管理です。寒風や霜が直接当たらない軒下や、棚の下段などが理想的です。
- 注意点: 室内に入れっぱなしにすると、暖房の熱や乾燥で弱ってしまいます。鑑賞のために室内に入れる場合は、2〜3日を限度とし、暖房の風が当たらない場所に置きましょう。
花物・実物(梅・桜など)
ここが重要なポイントです。「寒いとかわいそう」と早々に室内に取り込むのはNGです。
- 寒さが必要(休眠打破): 梅や桜などの花芽は、冬の厳しい寒さ(0度近く)に一定期間当たることで「冬が来た」と認識し、その後の暖かさで「春が来た」と目覚めます(休眠打破)。
- 管理のコツ: 基本は屋外で寒さに当てます。ただし、鉢の土が凍りつくような氷点下の夜だけは、玄関先やムロ(保護場所)に取り込んで根を守ってください。
南国・柑橘系
寒さに弱いため、室内管理が基本です。日当たりの良い窓辺などで、5度〜10度以上を保つようにします。

水やり:タイミングは「午前中」厳守
樹は休眠していますが、冬の乾燥した風で水分は失われています。
- 頻度(屋外): 2〜3日に1回が目安。
- 頻度(室内): 暖房で乾きやすいため、土の表面をよく観察し、乾いたらたっぷりと。
- 鉄則: 水やりは「午前中の暖かい時間帯」に行います。夕方以降に水をやると、夜間の冷え込みで鉢内の水分が凍り、根を傷める原因になります。
肥料
1月は樹が活動を休止しているため、栄養を必要としません。 肥料は与えないでください。 土の上に置き肥が残っている場合は取り除いておきましょう。
消毒:冬こそ害虫駆除のチャンス
葉がないこの時期は、薬剤が幹や枝の隅々まで届きやすいため、病害虫予防のベストシーズンです。
- 石灰硫黄合剤: 古くから使われる強力な殺菌殺虫剤。越冬中の害虫や病原菌を退治します。(※住宅地ではにおいに注意)
- おすすめ(初心者向け): 園芸店で手に入りやすい「サンヨール液」なども効果的です。うどんこ病などの予防にもなります。
樹種別の作業:桜の剪定

春に美しい桜を咲かせるために、新芽が動く前の1月〜2月中旬に剪定を行います。
- 徒長枝を切る: 勢いよく伸びすぎた枝(徒長枝)は、付け根から1〜2芽を残して短く切ります。
- 花芽を残す: 短い枝に花芽がつく性質があるため、短い枝は切らずに残します。
- 道具の消毒: 桜は切り口から菌が入りやすいデリケートな樹種です。剪定ハサミは使用前に消毒液や火で炙って消毒し、太い枝を切った場合は切り口に癒合剤を塗ってください。
1月のよくある質問 (FAQ)
Q. 桜の枝を切る時の注意点は? A. 桜は「桜切る馬鹿、梅切らぬ馬鹿」と言われるほど、切り口から腐りやすい樹木です。不要な枝を切る際は、必ず清潔なハサミを使用し、スパッと綺麗に切ることが大切です。また、花芽(丸みを帯びた芽)を間違って切り落とさないよう、芽の形をよく観察してからハサミを入れましょう。
Q. 雪が積もってしまいましたが大丈夫ですか? A. 盆栽の上に雪が積もる程度なら、雪が断熱材代わりになり保温効果があるため、そのままでも大丈夫なことが多いです。ただし、重みで枝が折れそうな場合や、鉢土までガチガチに凍りそうな場合は、雪を払って軒下へ移動させてください。



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