軽い気持ちで蒔いたら、まさかの秋に発芽
盆栽日記です。今回は、完全に私の「やらかし」の記録になります。同じ失敗をする人が一人でも減れば…という、戒めも込めてお届けします。
ことの発端は、9月30日。手元に三河黒松の種が約160粒ありました。本来、松の種まきは春(3月ごろ)が基本です。それは分かっていました。分かっていたんですが、ふと、こう考えてしまったんです。
「今蒔いておけば、冬の寒さと湿り気で低温湿潤処理もついでにできるし、来年2027年の春ごろに自然に発芽してくれるんじゃないか?」と。
低温湿潤処理というのは、種を低温と湿った状態に一定期間おくことで、種の休眠が覚めて発芽しやすくなる、というものです。自然界では、秋に落ちた種が冬の寒さを越えて春に芽吹く、あの仕組みですね。「それを庭で再現できるなら一石二鳥じゃないか」と、本当に軽い気持ちで、約160粒を育成トレイ2枚に蒔いたのでした。
来年の春が楽しみだなあ、なんて呑気に構えていたわけです。
10月上旬、まさかの発芽

ところが。
蒔いてから1週間ちょっと経った10月上旬。トレイを覗き込んだ私は、目を疑いました。
芽が、出ている。
来年の春に出るはずだった芽が、まさかの10月に、ぴょこぴょこと顔を出し始めたのです。「え、今!?」と、思わず声が出ました。
考えてみれば当たり前でした。9月末〜10月上旬は、まだ気温が20度前後あって、黒松の発芽には十分暖かい時期。種からすれば「お、暖かいな、今が春か!」と勘違いして芽を出してしまったわけです。低温湿潤処理どころか、低温になる前に発芽してしまった。完全に私の読み違いです。
さあ大変、越冬対策が必要になった
喜んでいる場合ではありません。問題はここからです。
10月に発芽したということは、この幼い芽たちは、これからやってくる冬を、生まれたての状態で迎えることになります。発芽したての松の苗は、寒さにとても弱い。本来なら春に発芽して、暖かい季節をたっぷり過ごして体力をつけてから冬を迎えるはずが、体力ゼロのまま真冬に放り込まれるわけです。
つまり、まったく予定していなかった「秋発芽組の越冬対策」が、急きょ必要になってしまいました。しかも育成トレイ2枚分。160粒のうち、どれだけ発芽したのかはこれから数えますが、そこそこの数になりそうです。
さらに言うと、我が家にはすでに「今年の春(3月)に発芽した三河黒松の実生」もいます。こちらは半年育って、それなりに大きくなっている先輩組。この先輩組の越冬対策も、もともと今年が初めてで不安なのに、そこへ「秋発芽の新人組」まで加わって、越冬させる苗が一気に増えてしまいました。
春発芽の先輩組と、秋発芽の新人組。世代の違う実生たちを、まとめて冬越しさせる。初めての越冬で、いきなり難易度が上がってしまったわけです。無事に春を迎えられるのか、正直、かなり不安です。
秋発芽組を、どう冬越しさせるか
とはいえ、やってしまったものは仕方ありません。生まれてきた以上、なんとか冬を越させてやりたい。今考えている対策を書いておきます。
まず、発芽したての苗は寒さに弱いので、しっかり守ります。西風・北風の当たらない軒下に、育苗トレイを置いています。地面に直置きせず、ブロックと板で底上げして、地面からの冷気を防ぐ。さらに、鉢の下に発泡スチロールを敷いて断熱する。これが基本の構えです。
そのうえで、秋発芽の幼い苗には、簡易のビニール温室やフレームで、霜・雪・冷たい雨・寒風を防いでやろうと考えています。黒松はもともと寒さに強い木なので、ガチガチに保温する必要はありません。守りたいのは「寒さ」そのものより、「寒風・霜・雪・急な冷え込み」によるダメージのほう。だから、北風と霜雪をしのげる覆いがあれば十分、という考え方です。
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ただし、ビニールで覆う場合は、晴れた日中の蒸れに注意。昼は開けて換気、夜は閉じて霜よけ、のメリハリが大事になります。そして今季いちばんの寒波の夜だけは、さらにひと手間かけて手厚く守る。このあたりは、別記事の越冬対策にも書いたとおりです。

水やりは、冬は乾きにくいので回数を減らしつつ、幼い苗を乾かし切らないように。そして必ず午前中に。夕方以降にやると夜に凍ってしまいます。
正直、これで全部が無事に冬を越せるかは分かりません。秋発芽の実生の越冬は、私自身も初めての挑戦です。どうなったかは、また春に経過を報告します。全滅してたら笑ってやってください。
【教訓】秋に種を蒔くなら、11月にしましょう
さて、この失敗から得た、いちばん大事な教訓をお伝えします。これから秋に松の種を蒔こうとしている方は、ぜひ覚えておいてください。
秋に種を蒔くなら、9月末〜10月上旬は早すぎます。11月に蒔きましょう。
理由はシンプルです。私が失敗したように、9月末〜10月上旬はまだ暖かくて、種が「春が来た」と勘違いして発芽してしまうからです。発芽してしまえば、幼い苗のまま冬に突入して、寒さにやられるリスクが高い。
その点、11月に蒔けば、気温がもう十分に下がっているので、種は発芽しません。発芽せずに土の中でじっと冬を越し、寒さと湿り気でちゃんと低温湿潤処理がかかって、暖かくなる来春にそろって芽を出してくれる。これが、秋まきで狙うべき本来の流れです。私がやりたかったのは、まさにこれだったんです。時期さえ間違えなければ。
まとめると、こういうことです。
- 春まき(3月ごろ):いちばん基本で確実。初心者はまずこれ
- 秋まき(11月):寒さで発芽せず、春に自然発芽を狙う。低温湿潤処理も兼ねられる
- 9月末〜10月上旬のまき:中途半端に暖かく、秋に発芽してしまう。いちばんダメなやつ(←私)
「ついでに低温湿潤処理も」なんて欲を出すなら、ちゃんと寒くなる11月まで待つ。これが正解でした。軽い気持ちで10月頭に蒔いた結果が、予定外の越冬対策というわけです。
まとめ
今回は、私の「早すぎた種まき」の失敗記録でした。
9月30日に三河黒松160粒を軽い気持ちで蒔いたら、来春のはずが10月に発芽。春発芽の先輩実生と合わせて、予定外の越冬対策に追われることになりました。無事に冬を越せるかは、まだ分かりません。
この失敗から言えることは一つ。秋に種を蒔くなら、暖かい10月上旬ではなく、しっかり寒くなる11月に。そうすれば、種は発芽せずに冬を越し、低温湿潤処理もかかって、春に元気に芽を出してくれます。
盆栽は、こういう失敗をしながら少しずつ覚えていくものなのかもしれません。秋発芽組と春発芽組、両方とも、なんとか春まで連れていってやりたいところです。経過はまた報告しますので、一緒にハラハラしながら見守ってください。無事に芽吹きの春を迎えられますように。






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