【8月の管理】真柏・黒松・赤松・五葉松|真夏を枯らさず乗り切る4つのコツ

8月のお手入れ お手入れ
8月のお手入れ

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8月は「何もしない」が最大の手入れです

盆栽を始めたばかりの方が8月にやりがちな失敗、それは「良かれと思って手を入れてしまうこと」です。

『何もしない』が最大の手入れ
『何もしない』が最大の手入れ

剪定、植え替え、針金かけ、肥料。どれも盆栽には欠かせない作業ですが、8月にやると木が枯れます。真夏の松柏類は成長がほぼ止まり、暑さにじっと耐えているだけの状態。そこに傷をつけたり根をいじったりすれば、回復する体力が残っていないのです。

8月の仕事は水やりと置き場所の管理、この2つだけと考えてください。地味な作業ですが、ここを外すと1年かけて育てた木が1週間で枯れます。逆に言えば、この2つさえ守れば初心者の方でも8月は乗り切れます。


真柏(シンパク)の8月|西日だけは避けてください

真柏の8月
真柏の8月

やること:水やり/遮光/針金の食い込みチェック
やらないこと:剪定/植え替え/肥料

真柏は松柏類のなかでは暑さに強い樹種です。ただしそれは「地面に植えてあれば」の話。鉢という限られた土の中では、真夏の地温は40度を超えることもあります。

水やりは1日2〜3回

朝は必ず、夕方も必ず。日中に鉢が軽くなっているようなら、昼にもう一度加えてください。鉢を持ち上げて重さを覚えておくと、乾き具合が体感でわかるようになります。表土を指で触って乾いていたら、鉢底から水が流れ出るまでたっぷりと。

葉水(葉に直接シャワーをかけること)も効果的です。真柏の葉は細かく密集しているため、ハダニの温床になりやすいのが弱点。朝夕の水やりのついでに葉全体を洗い流すつもりでかけておくと、ハダニ予防になります。

遮光は「西日対策」が中心

午前中の日差しは当てて構いません。問題は午後2時以降の西日です。これが葉を焼きます。30〜50%の遮光ネットを張るか、午後は日陰になる場所へ移動させてください。

針金をかけている木は要注意

真柏は8月でも幹や枝が太り続けます。6月にかけた針金が、8月には食い込んでいることも珍しくありません。週に一度は確認し、幹に沈み込み始めていたらすぐに外してください。真柏の食い込み傷は10年経っても消えません。

剪定は9月中旬まで我慢

真柏の枝を切ると、その枝につながる「水吸い」の筋が断たれ、部分的に枯れ込むことがあります。伸びすぎた新芽が気になっても、指で軽く摘む程度に留めてください。ハサミは仕舞っておきましょう。


黒松の8月|二番芽には絶対に触らない

黒松の8月
黒松の8月

やること:水やり/二番芽の見守り/下旬から施肥再開
やらないこと:芽切り/剪定/植え替え

7月に芽切りをした木は、8月に二番芽が動き出します。黒松栽培でいちばんおもしろい時期であり、同時にいちばん手を出したくなる時期でもあります。

二番芽は見ているだけ

切り口から小さな芽が複数吹いてきますが、この段階で「多すぎるから減らそう」と間引くのは早すぎます。芽を整理するのは、芽が固まる9月中旬以降です。今の芽はまだ柔らかく、触れば傷みます。

芽切りをしていない木、あるいは樹勢が足りず芽切りを見送った木も、8月は何もしません。「今からでも間に合うのでは」と思われるかもしれませんが、8月の芽切りは二番芽が固まりきらないまま秋を迎えることになります。来年に回してください。

水やりは1日2〜3回

黒松は松のなかでは水を欲しがるほうです。真夏に水を切らすと葉先から茶色く枯れ込み、一度枯れた葉先は緑には戻りません。

肥料は8月下旬から再開

芽切り後は約1ヶ月間、肥料を止めます。二番芽が伸びて葉が展開してきたら、固形油かすを鉢の縁に置いてください。この時期の肥料が秋の充実につながります。ただし上旬〜中旬はまだ早いので、下旬まで待ちましょう。

害虫はスギドクガに注意

葉が食われて短くなっていたら、スギドクガの幼虫を探してみてください。緑色の毛虫です。見つけたら割り箸で取り除くか、殺虫剤を夕方に散布します。


赤松の8月|黒松と同じ管理を「すべて控えめ」に

赤松の8月
赤松の8月

やること:黒松と同じ、ただし全て弱めに
やらないこと:黒松と同じ、加えて濃い肥料

赤松は黒松と管理がほぼ共通ですが、すべてにおいて黒松より繊細だと覚えてください。同じことをしても、赤松のほうが先に音を上げます。

照り返しが最大の敵

黒松より日差しに弱く、真夏の直射と地面からの照り返しで葉焼けを起こします。コンクリートの上に直置きしているなら、今すぐ棚の上か木製のスノコの上へ移してください。照り返しは想像以上に強く、鉢底から根を煮てしまいます。

腰水は絶対にしない

「留守にするから」と受け皿に水を張る方がいますが、赤松の根は過湿で簡単に腐ります。数日家を空けるなら、鉢を半日陰に移して朝たっぷり与えるほうが安全です。

二番芽が小さくても心配無用

赤松の二番芽は黒松より小さく、数も少なめに出ます。「黒松のように吹いてこない」と不安になりますが、それが赤松の標準です。触らずに見守ってください。

肥料は黒松の半分から

再開は8月下旬からですが、量は控えめに。赤松は肥料が効きすぎると枝が間延びし、赤松らしい繊細な樹形が崩れてしまいます。


五葉松の8月|4種のなかで最も暑さに弱い

五葉松の8月
五葉松の8月

やること:半日陰へ移動/水やりは控えめに
やらないこと:施肥/剪定/植え替え/芽切り

まず初心者の方に必ず覚えていただきたいのが、五葉松は芽切りをしない松だということ。本に「7月に芽切り」と書いてあっても、それは黒松・赤松の話です。五葉松に芽切りをすると木が弱ります。

そして五葉松は、本来標高の高い涼しい場所に自生する木。日本の平地の夏は、五葉松にとってかなり過酷な環境です。

置き場所が8月最大のポイント

風通しのよい半日陰へ移してください。午前中のやわらかい日差しは当てて、午後は完全に日陰になる場所が理想です。遮光ネットを使うなら30〜50%。ベランダなら、コンクリートの照り返しを避けて棚の上に置きましょう。

水やりは他の3種より控えめに

1日1〜2回で十分です。五葉松は過湿をもっとも嫌う松で、水のやりすぎによる根腐れは初心者の典型的な失敗パターン。表土が乾いてから与える、を徹底してください。迷ったら「もう半日待つ」が正解です。

葉水は蒸れの原因になるため、風通しの悪い場所では控えましょう。

肥料は8月中いっさい与えない

五葉松は肥料に敏感で、真夏の施肥は根を傷めます。9月中旬まで待ってください。

葉が黄色くなったときの見分け方

原因は3つ考えられます。鉢を持ち上げて重ければ根腐れを疑い、水やりを止めて乾かします。軽ければ水切れ。日が当たる側だけ茶色ければ葉焼けなので、すぐ日陰へ移してください。


挿し木の根元が茶色い?根腐れの見分け方と対処法

根腐れの見分け方
根腐れの見分け方

真柏や五葉松の挿し木を7月に挿した方も多いと思いますが、遅めの挿し木は根元が茶色くなりやすいという問題があります。私自身、7月に挿した真柏20本のうち数本で、基部が茶色く変色しました。

これは高温期の挿し木でもっとも起こりやすい失敗、**基部の腐敗(軟腐)**です。切り口から雑菌が入り、組織が壊死して上へ枯れ上がっていきます。

生きているか死んでいるかの見分け方

やっかいなのは、真柏は枯れても葉が数週間緑のまま残ること。 葉が青いから生きている、とは限りません。

判断する方法は2つあります。

ひとつは、茶変した部分を爪で軽く削ってみること。内側が白〜緑なら生きています。褐色や黒褐色でスカスカなら、残念ながら死んでいます。

もうひとつは、軽く引いてみること。抵抗なくスッと抜けるものは、カルスも根も出ていません。

茶変した株は速やかに抜く

腐敗株を放置すると、同じ用土内の健全な株に菌が回ります。抜いた穴はそのままにせず、周囲の用土ごと取り除くのが安全です。もったいなく感じますが、1本を惜しんで20本を失うほうが痛手です。

おすすめの薬剤

ベンレート水和剤(有効成分:ベノミル)

挿し木の基部腐敗対策として、まず選ぶべき薬剤です。切り口の殺菌が守備範囲で、挿し木の切り口処理にも古くから使われてきました。

  • 希釈倍率:2000倍(水1Lに0.5g)
  • 使い方:ジョウロで挿し床全体にゆっくり灌注
  • 頻度:7〜10日間隔で2〜3回
  • 価格:500円前後

粉が溶けにくいので、少量の水でペースト状にしてから全量に薄めるとダマになりません。作った液はその日のうちに使い切ってください。

ダコニール1000(有効成分:TPN)

ベンレートと系統が異なる殺菌剤です。1000倍希釈で同様に灌注できます。

ベンレートはベンズイミダゾール系で、連用すると耐性菌が出やすい薬剤です。3回で一区切りとし、秋以降にまた必要になったらダコニールに切り替えるのが安全な使い方になります。

オーソサイド水和剤80(有効成分:キャプタン)

挿し木前の切り口処理に使われる殺菌剤です。すでに発生してしまった株より、来年の挿し木時に予防として使うのに向いています。挿す前に切り口へ粉衣するか、800倍液に浸けてから挿します。

使ってはいけない薬剤

ベニカXネクストスプレーのような家庭園芸用オールインワン剤は、この症状には向きません。

殺菌成分はうどんこ病や黒星病といった葉の病害が対象で、基部の腐敗には登録がありません。またスプレー剤は葉面散布用に設計されているため、用土に浸透させる灌注ができないのです。腐敗菌は用土のなかにいるので、葉にかけても届きません。

これらの薬剤はハダニやアブラムシが出たときに使ってください。

灌注日の水やりについて

薬液を灌注した日は、それを水やり1回分としてカウントしてください。午前に灌注したあと夕方に通常の水をかけると、薬液が流れ出てしまいます。夕方は用土の乾き具合を確認し、まだ湿っているなら水やりを省くか、葉水程度に留めるのが理想です。

ただし明らかに乾いていて水切れが心配なら、迷わず水をやってください。薬剤が薄まることより、挿し穂が乾くほうが致命的です。

あとは触らないこと

挿し床を動かす、抜いて根を確認する。こうした行為が発根をもっとも妨げます。11月頃まで基本的に放置してください。

7月挿しの真柏は発根まで通常2〜3ヶ月かかり、越冬してから伸び始めるものも珍しくありません。秋になっても動きがないこと自体は異常ではないのです。

なお、20本中数本の脱落は挿し木としては普通の歩留まりです。適期(3月中旬〜4月上旬、または9月中旬以降)に挿した場合の発根率は家庭環境で6〜8割程度。高温期の挿し木でその範囲に収まっていれば、むしろ上出来といえます。


全樹種共通|8月に守りたい5つのこと

水やりは時間ではなく土の状態で決める

「朝7時と夕方6時」と決めてしまうと、涼しい日に水をやりすぎ、猛暑日に水が足りなくなります。表土を指で触って判断する習慣をつけてください。

日中の水やりは避ける

正午〜午後3時は避けましょう。熱くなった鉢に冷たい水をかけると根が傷みます。ただし明らかに萎れている場合は、鉢ごと日陰に移してから水を与えてください。放置して枯らすよりはるかにマシです。

中途半端な量は最悪

表面だけ濡らす水やりを繰り返すと、鉢の下半分が乾いたまま根が死んでいきます。鉢底から流れ出るまで、が基本です。

台風対策は早めに

8月下旬から台風シーズンです。接近が予報されたら、鉢を地面に降ろすか棚に固定してください。盆栽鉢は重心が高く、風で倒れると鉢が割れ、根が乾いて枯れます。

海に近い地域では塩害にも注意を。台風通過後、葉に塩分が付着すると数日で茶色く枯れ込みます。通過後すぐに真水で葉と幹を洗い流してください。

薬剤散布は必ず夕方に

日中に散布すると薬害で葉が焼けます。ハダニは葉が白っぽくかすれてきたら疑ってください。カイガラムシは幹の分岐部や葉の付け根に白い塊として現れます。


まとめ|8月を乗り切る4行

8月の盆栽管理は、水やりと置き場所がすべてです。

  • 真柏:日向でも耐えるが、西日は避ける
  • 黒松:水は多めに、二番芽は触らない
  • 赤松:黒松より繊細に、照り返しに注意
  • 五葉松:半日陰で、水は控えめに

この4行を覚えておけば8月は乗り切れます。

そしてもっとも大事なのは、手を出したくなる気持ちを抑えること。剪定バサミは9月まで仕舞っておきましょう。

9月に入れば、芽かき、施肥再開、針金かけと作業が始まります。8月は木を休ませ、自分も少し休む月と考えてください。

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